大崎セラピールームは、2016年に開設された、米国臨床心理学修士(アライアント国際大学)、臨床心理士/公認心理師が運営する心理カウンセリングルームです。

セラピストが引きこもり当事者であり、そこからの回復の経験を活かし、クライアントの苦しみや生きづらさに共感し、安心、信頼できる関係を作ります。そして専門家としての知識や技術と臨床経験を生かし、クライアントの人生がその人らしい、生き生きした人生を送れるようにお手伝いいたします。

なぜ開業心理カウンセリングなのか?

現在では、心理カウンセリング、心理相談は大分、世の中に浸透してきています。

現在では精神科のクリニックでも心理カウンセリングを行っているところもみられるようになりました。

しかし、地域や学校のの相談室や病院でのカウンセリングはお金はかからないけれど、大体は

「ただ話をきいてもらっただけだった。」

という感想を多く聞きます。

実際に、症状や病気がよくなった実感を持っている方は少ないのではないでしょうか。

昔からよく言われていましたが、今でも心理士と言えば、“ただ話を聞いてもらう人”になっていると思います。

ただ話を聞いてもらうだけであれば、友人に話を聞いてもらうことと変わりがありません。わざわざお金を出して行ってみようという気にはならないと思います。

よくこういう質問を受けることがあります。

「地域の相談室や学校のスクールカウンセリングは聞いたことがあるけれど、開業心理カウンセリングって、高いんでしょう?」

はい、開業のカウンセリングの相場は大体1セッション約1時間で10,000円くらいです。確かにお高い買い物です。しかもお土産もなく、一回でよくなることはまずありません。普通の生活の感覚かるすると高いと思われるかもしれません。

実はこの痛い身銭を切るということがセラピーのミソになります。こんなに支払うから、払う方も一生懸命に治したいという気になりますし、その分の元を取ろうと必死になります。セラピスト側もこのお金をいただかないと生活できないと思うから必死でセラピーをします。この共同作業が、クライアントの回復、治療に向かわせます。

心理セラピー(精神分析療法)は、S・フロイトが始めました。フロイトも当時のウィーンのアカデミックの世界から認められず、一介の開業セラピストとして精神分析療法を始めました。彼も身銭を切ることの大事さを説いています。心理セラピーのおいて、お金の授受そのものがセラピーの中に含まれるのです。そしてフロイト以降も、必要に迫られた厳しい環境の中で、様々な心理療法が発展していっています。心理療法、心理セラピーは“開業”のセラピールームから始まっているのです。

面接キャンセルしてもタダだから(安いから)いいやという気持ちのクライアントと、この面接が途中で切れても(キャンセルになっても)給料変わらないからいいかという気持ちのセラピストの共同作業がうまくいくとは思えません。心を扱うことことをお金だけが動機付けになることはないといいたいところですが、職業である以上、セラピスト側にそういう気持ちがないことはありませんし、もしなくてやっているならその方が危険です。

このような一種のクライアントとカウンセラーの“なれ合い”が「ただ話を聞くカウンセリング」になっている面があると思います。それが米国の開業心理カウンセラーに比べて圧倒的に日本の開業心理カウンセラーが少ない理由でもあります。

さらに、開業心理カウンセラーと組織内心理カウンセラーのは「適応」の考え方が違います。組織内心理カウンセラーはクライアントの生きづらさ、社会への不適応を、もとの社会へ適応させていく方向を治療と考えます。不登校でいえば学校へ行くように、休職であれば会社へ行くように助けるという名目です(組織内心理カウンセラーがその組織の利害に反することをいうのは腰が引けてしまうのです)。

しかし、開業心理カウンセラーは“不”適応になるのも当然だといいますしそれはあなたの「個性」だ、くらい逆説的なことをいいます。他人や世間の目を気にして、無理に周りに適応しようとすることがあなたの苦しさの根源なのだから、その無理な生き方を手放していっても、あなたの個性を生かしていって、大丈夫だと力づけていきます。

一回のセッションが10,000円が高いか、見合ったものかは、払った人が感じるものです。例えば、趣味の世界でも、他人から見ればなんでそんなことにお金を使うのか分からないものでも本人は喜んでそれにお金を支払えます。心理セラピーも同じです。それに見合った満足感や安心感、肯定感、をセラピストから得られ、行動の変容がおこれば喜んで支払おうと思います。(とはいえ、それだけ支払うことは躊躇してしまうというのも理解できます。そういう方は、「初めての方へ」をご覧ください。)

お金と時間

大崎セラピールームの特徴

セラピストとクライアントという“役割”は、治す側と治される側と固定されていると考えがえるのが普通かとおもいます。治す側と治される側にははっきりした境界線が引かれていて、外科手術のようにクラアイントは困っていること(ガン細胞)を、セラピストが心理療法(手術)できれいさっぱり取り除くというイメージです。

しかし、そのような関係は、セラピストは全能者、クライアントは無力な人という上下関係、力(権力)関係になり、セラピストはどんな困ったことも治すといった肥大した万能感を持った人、クライアントは自分は無力で、人が自分を治してくれるという依存心を持つ人ということになります。セラピーにおいては、そう考えることがかなり危ないと考えます。

クライアントの持っている力に気が付かせるセラピー

セラピーはクライアントの中に自分で立ち上がる“力”があることを気づかせることです。セラピストが治すものではないのです。クライアントが自分の中に“力”があると気が付くときはいつでしょう。それはセラピストからの今までの苦しかったクライアントの人生への“共感”と、それでいいという“受容”と“肯定感”です。セラピストの共感は、セラピスト自身の自分への人生の共感がベースになります。当然、クライアントとセラピストは違う人ですから、他人の苦しみはわかりません。

しかし、セラピスト紹介でも書きましたが、私自身が、元ひきこもり、ACを自覚している当事者です。その人がどんなに苦しかったかは、自分が苦しかった経験を武器に、クライアントに共感や共鳴していきます。

当事者の経験を生かすセラピー

AC当事者だった私が、さらに専門家の道をたどることで、自分の回復の道のりを、ただ自分の経験だけでなく、心理学の言葉を使って理解することができました。心理学は学問ですから、普遍性があります。私に適応できたものは、クライアントにも適応できることが臨床経験を積むことで分かりました。

自分のたどってきたAC当事者の経験と、専門家として知識と実践経験の両輪を使って、クライアントに自分らしい生き方を、生き生きとしたその人らしい人生を送るお手伝いができると思っています。

田中淳一 カウンセラー

精神科医 斎藤学先生から受けた教えを実践しています。

このような大崎セラピールームの特徴である、当事者である回復の経験と、専門家の知識と臨床経験を生かしたセラピーの実践は、精神科医斎藤学先生(注1)から学びました。

斎藤先生は90年代に、日本に「アダルトチルドレン」という言葉を紹介し、日本にアダルトチルドレンブームを巻き起こした先生です。それだけでなく、日本の依存症、児童虐待、DV問題、など今では当たり前になっている社会問題をいち早く指摘し、その被害者、加害者、その家族の治療に取り組んできた方です。

私は、斎藤先生から、自分が当事者だった時(主治医でありセラピスト)から、専門家になるための訓練(大学院の教員)、専門家になって、現在に至るまで(スーパーバイザー)、薫陶を受けています。

具体的な治療技法として、斎藤先生から

・依存症治療の自助グループの効用、活用

・自傷や自殺に対する家族危機介入、

・対面セラピーからグループ療法の活用、

・セラピーの会話をどう進め、介入して解決へ導いていくか(ナラティブセラピー)、

・個人の病理を家族の中で起こった人間関係の中でとらえ個人だけでなく家族への介入や面接の技法(家族療法)、

・幼少期の親や大人からの虐待の影響の理解と、治療(トラウマ治療)、

・クライアントの心理抵抗や防衛をどう外し、変化させていくか(Mエリクソン催眠技法)、

・それらの療法を統合した斎藤先生が考案したpias(Paradoxical Intervention Approach by Saito、逆説的介入アプローチ)、

など心理療法の基礎から実践まで教わりました。

また、このような具体的な技法だけでなく、そのさまざまな療法の大本の基礎にある、S.フロイトの精神分析の精神力動(転移関係、抵抗など)論からM.クラインらの母子の対象関係論、D.スターンの観主観性論、H.コフートの自己愛治療論まで続く一連の精神分析の治療論の歴史と実践、さらに心理療法家としての態度や考え方(哲学、倫理)、人間のあり方に至るまで、斎藤先生から学んでいます。

私は、斎藤先生から学んだ“斎藤イズム”を臨床で実践し、またこの斎藤イズムを下の世代に継承していきたいと考えています。

〇斎藤先生の主催する麻布コレクティヴでは、斎藤先生のミーティングや講義を行っています。斎藤先生の心理技法の講義や、グループミーティングに参加されてみたい方は、サイトからご予約できます。

麻布コレクティヴ

(注1):1941年生、精神科医、慶応義塾大学医学部卒、フランス政府給費留学生、国立久里浜病院精神科医長、東京都精神医学総合研究員を経て、95年さいとうクリニック、家族機能研究所設立。依存症及び家族機能不全に関する研究、臨床の第一人者。また、日本嗜癖行動学会理事長などを務める。日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン(JUST)ほか、多くの自助グループの設立を支援する。現在家族機能研究所代表を務める。「アダルトチルドレンと家族」(学陽書房)などの著書、翻訳書、多数。

両輪

大崎セラピールームが大事にしていること

大崎セラピールーム

1. 安全な場所の提供

クライアントが安心して話が出来、カウンセラーと信頼関係を持つことが出来るカウンセリングを行っています。クライアントが希望しないことを話してもらうこと、希望しない心理療法を行うことはいたしません。守秘義務守ってカウンセリングを行います。

2. 総合的な心理療法のアプローチ

一つの心理療法だけで、クライアントがよくなることはありません。当相談室では、クライアントの状態や個性、パーソナリティに合わせて、心理学の理論に基づいて、様々な、総合的な心理療法を行っています。

【使用している心理療法、技法】

精神力動、グループ集団療法、ナラティブセラピー、家族療法、認知行動療法、行動療法、ブリーフセラピー(解決志向型モデル、戦略モデル、NLP(Neuro-Linguistic Programming))、マインドフルネス、ゲシュタルト療法、サイコドラマ、エリクソン催眠療法、PIAS(逆説的介入アプローチ)など

3. カウンセリング理論、技法の日々のトレーニング

当相談室カウンセラーが、日々のトレーニングを行い、技術の向上に努めています。様々な技法の研修をはじめ、経験豊富な臨床心理士や精神科医によるスーパービジョンやグループスーパービジョンを受けています。それによってカウンセラーが思い込み、偏ったカウンセリングを行うことを防いでいます。

4. 倫理の尊重

アメリカカウンセラー協会(ACA)、アメリカ心理学協会(APA)、心理臨床学会の倫理基準を順守しております。