「マリファナや覚せい剤の違法薬物が止められない。」
「毎回、処方薬(眠剤、向精神薬、など)を処方された以上に飲んでしまう。」
「いやなことを考えたくない時は、いつも市販薬をオーバードース(過剰服用)する。」

このような薬物の乱用は、薬が致死量に至れば、命の危険に繋がります。その上、乱用が常習化すると、さらに命の危険のリスクが高まります。

すぐに、いつも薬物をどこに手に入れることばかり考えて、日常生活に支障が出るようになります。
このような状態は、薬物依存症に陥っている状態です。

また、家族の中に、このような薬物依存の問題を抱えている人がいると、ほとんどの家族がどうしていいか分からず、場当たり的な対応しかできません。

薬物依存症は、自分の意志では治らない病気です。また家族の支援で治せる病気ではありません。
専門家による、適切な治療と介入が必要です。

ここでは、薬物依存症についての説明と治療法について解説します。また大崎セラピールームが行っている、薬物依存症に対するカウンセリングについても紹介します。

薬物依存症とは

薬物依存症とは、違法薬物の使用が止められなかったり、
処方薬、市販薬の過剰摂取が止められないことをいいます。

ここでは、違法薬物の使用と、処方薬・市販薬乱用について解説します。

違法薬物の依存

違法薬物依存とは、主に大麻(マリファナ)や覚せい剤などの違法薬物の使用をして、それが止められなくなることをいいます。

違法薬物使用は、見つかれば逮捕されます。覚せい剤は、オーバードースで死亡するケースも多く、危険な依存症の一つです。

きっかけは思春期の反抗や、「自分は人とは違うことをやっている」という目立ちたい気持ちから始まり、その内に使用が止められなくなって、警察に捕まり、刑務所に入ります。
しかし、出所するとまた始めてしまい、また捕まって刑務所へ入ることを繰り返す、このような薬物依存症者の人も多く見られます。

現代では、マリファナからリラックスする要素を抽出したCBD(カンナビジオール)や、やる気や多幸感を感じる要素を抽出した、THC(テトラヒドロカンナビノール)などは、合法的に買うことが出来るようになり、それに依存している人も増えています。

違法薬物依存は男性に多い

違法薬物の使用は、圧倒的に若い男性が多い傾向があります。
違法薬物の使用は、思春期特有な反抗の象徴であり、大人の言うことは聞かない、自分の思う通りに生きるといった自己主張の一つです。
中には思春期が終わっても、薬物使用が止められず、警察に捕まって刑務所に入ってを繰り返す人生を送ってしまう人たちがいます。

そういう人たちの多くが、幼少期に家族から安定した養育を受けられなかったり、虐待家族で育った方が多く見られます。

処方薬、市販薬の乱用

処方薬(眠剤や向精神薬(リタリン、コンサータの薬品に含まれるメチルフェニデートという薬物に依存する危険がある成分が含まれいる)(覚せい剤とほぼ同じ化学記号をしている)を過剰摂取することで、興奮作用が得られるため、それに依存しているケースも多く見られます。

咳止め薬や風邪薬などの市販薬をオーバードースすることで、頭がボーっとしてリラックスできたり(咳止め薬)、気分がハイになって(風邪薬)元気を装えたり出来るので、それに依存していきます。

オーバードースによる、肝機能障害や、呼吸困難になることがあり、救急搬送されるケースがみられます。このような行為は、命を落とす危険が高まります。

最近は、このような処方薬、市販薬依存は10代20代の女性に多いのが特徴です。

薬物依存症の家族への影響

依存症は本人だけの問題ではありません。家族を巻き込んで、甚大な影響を与えます。

逮捕・実刑

違法薬物に依存して、それが警察に見つかれば、逮捕され、刑務所で数年過ごすことになります。
本人が、これからの人生を生きて行くのに、不利になりますし、それによって家族の社会的立場が危うくなります。本人だけでなく家族も大きな不幸を被ることになります。

共依存

薬物を止めさせようと、家族(主に母親)が奮闘しますが(薬を取り上げる、お金を渡さない、身柄の引き受けなどの監視コントロールとお世話)、その監視コントロールから逃れようとして、本人はますます依存していってしまいます。その結果、家族のお世話が、本人の自分で立ち上がる力を奪ってしまう結果になってしまいます。

このように、本人に対する過剰なお世話やコントロールによって、本人が自分で立ち上がる力を奪ってしまう関係のことを共依存と言います。

共依存になることで、家族(主に母親)が、依存症者の心配やケアで、労力を使い切ってしまい、家族の他のメンバーのこと、将来のこと、自分自身の将来のことなど考えられなくなってしまいます。

依存症の原因

依存症になる原因は、様々考えられます。これが原因だと一つに特定することも困難です。様々な要因やきっかけで、依存症になる可能性があります。

ここでは代表的なものを解説していきます。

両親の不和

薬物依存の問題は、多くが思春期から始まります。思春期の子どもの問題行動は、ほとんどが夫婦間問題の象徴と考えられます。

夫婦仲が悪く、喧嘩が絶えなかったり、会話がなく冷めきった夫婦関係の場合、その子どもたちは無意識に、自分が問題を起こすケースが多いです。それによって、両親の目を自分に向けさせ、家族が壊れることを防ごうとしている訳です。

子どもが問題を起こすことで、会話のなかった夫婦に会話が生まれたり、二人が協力して子どもの問題に取り組むようになるからです。
また両親の関心が自分に向いていないと感じている場合、子どもが依存症の問題を起こして初めて、両親の関心が自分に向くことを感じられます。両親の愛情の試し行動として、依存症になることが本人にとって必要になります。

若い世代の生きづらさ

処方薬・市販薬依存は、今、10代20代の女性が急増しています。その背景として、今の若い世代の生きづらさが考えられます。

学校の中で仲間外れにされないように、友人関係に過敏になり、過剰に周りに自分を合わせます。勉強も遅れないようして、親の期待に応え、いい子になり、教員の期待に応え、いい生徒になっています。このような生き方に息苦しさと生きづらさを感じています。

このような息苦しさを覚えている中、処方薬・市販薬をオーバードースした時に、緊張が解けて、リラックスできたり、解放された感じを得ます。苦しさを覚えたときに、処方薬・市販薬のオーバードースをすれば楽になれると、間違った学習をしてしまいます。

世代間連鎖

依存症の問題に関しては、世代間で連鎖しやすいと言われています。父親、祖父、叔父、母方の祖父、叔父などに、依存症を抱えているパターンが頻繁にみられます。

依存症の問題だけでなく、それに付随するDV、うつ病、共依存関係、トラウマなど、依存症家族特有のコミュニケーションパターンが見られ、それ自体が世代間連鎖していきます。

何故、依存症が世代間連鎖をしやすいかというと、依存症家族で育った子どもたちは、親たちのコミュニケーションを見て育ちますので、それが内在化されます。その中で育った子どもたちが大人になれば、自分の親と同じようなコミュニケーションをとり、親と同じような人生観、世界観を持つようになってしまうからです。

過酷な幼少期体験

幼少期の家族の中で、暴力、ネグレクトなどの虐待があった場合は、自分は愛される存在ではない、生きていていい存在ではないと、自分を思うようになり、健全な自尊心が育ちません。

また、親が過剰に押し付ける、親の価値観やしつけ(無理に強いる受験勉強、学歴主義、過剰な習い事など)があった場合も、子どもたちは、このままの自分ではいけないと、もっと努力をして期待に応えなければ、親から愛されないと思ってしまいます。そのため、健全な自尊心が育ちません。

そのような家庭環境で育った場合、常に、危険やプレッシャー、ストレスにさらされているので、薬物を使用した時に、ようやくリラックス感や解放感を感じることが出来ます。リラックスするために薬を使うことを学習してしまい、その使用が止められなくなります。

薬物依存症に対する大崎セラピールームのカウンセリング

薬物依存症に関する主な、大崎セラピールームの、カウンセリングを紹介します。

薬物依存症の治療は、本人のカウンセリングだけでは、回復が難しいと言われています。何故なら、依存症は、本人の問題だけでなく、家族の問題でもあるからです。

また、薬物依存は、命の危機にかかわることも多いので、地域の病院や福祉などの、ソーシャルリソース(社会的資源)を使うことも必要です。そのための介入や助言(ソーシャルワーク)もカウンセラーの役割になります。

ソーシャルワーク(介入・助言)編

医療につながる

薬物依存は、依存症の中でも、物質依存にあたり、病気ですので、医療の対象です。命にかかわることもあり、医療との連携は必須になります。

薬物依存症者はオーバードースをして、救急車で病院に搬送されるということがあります。入院も含めて、断薬をして、健康を取り戻す過程を医者と話し合い、相談することが必要です。

薬が抜けたとしても、様々な症状(内臓疾患、うつ、離脱症状による幻聴幻覚など)がでていることがありますので、それら症状に対する、薬物治療を並行して、依存症の治療を行います。

また自己処方的な、急な断薬は、返って危険なことがあるので、断薬についても、医者との相談と指導が必要です。

現在では、依存症を専門に扱っている病院があり、診察、集団療法、家族会、心理教育、カウンセリングなどのサービスを提供しています。

各自治体に、精神保健福祉センターがありますので、そこでも薬物相談が出来ます。

12ステップ自助グループの参加

薬物依存症から代表的な回復法としては、薬物依存当事者たちが集まり、ただ自分の話をし、仲間の話を傾聴するというスタイルで薬物依存から回復していく、12ステップの自助グループがあります。(NA ナルコティック アノニマス )

ここでは、専門家を置かず、当事者たちだけで集まり、12ステップと12の伝統というガイドに従い、自分の話をし、仲間の話を傾聴するというスタイルで薬物依存を克服していきます。

薬物依存症を抱える家族にも、12ステップの家族ミーティングがあり、家族にはその参加が勧められます。(ナラノン Nar-Anon)

他に、薬物からの回復施設では「DARK」(Drug Addiction Rehabilitation Center)は12ステップのミーティングを基本にして、薬物からの回復を目指す民間の施設があります。

心理カウンセリング編

本人のカウンセリング

薬物依存症本人へのカウセリングとしては、主に認知行動療法や解決志向型セラピー(ソリューション・フーカスド・セラピー)を行います。

薬を使って、得られる報酬(憂うつが晴れた、疲れていたのにがんばれた、スッキリした、)を学習してしまっています。依存することと報酬を得ることの因果関係が出来ています。
そのため、日常の問題の解決法として、物質や行動(ギャンブル)に依存することが不可欠になっています。

認知行動療法では、その誤って学習した、因果関係や、認識や行動、意識を、見直し、修正をかけて行きます。修正後に依存しないで切り抜けていくスキルを身に着けていきます。

解決志向型セラピーでは、「お酒を止められたとして、どういう生活をしていますか?」と初めに目標を設定して、「それを行うには、今日何をしたらいいですか?」と目標から今を逆算していき、今日やる行動を決めていきます。

家族へのカウンセリング

薬物依存症者の多くは、病識が低く、本人が来ることは少ないです。最初の相談は多くは、家族の方(主に母親)です。

まず、家族の対応に仕方について話をします。家族が過剰に本人のお世話(薬を取り上げたり、お金を上げなかったり、行動を監視したりなど)をしています(共依存)。

本人の行動の結果の責任は本人に取らせるようにさせます。その際オーバードースなど、本人の身の危険になる場合、どこの病院へ入院させ、退院後、どこの治療施設に入いるかなど、前もって相談します。

グループ療法

薬物依存症の人は、幼少期に、親からの虐待体験があり、トラウマ体験を持っている方多くいます。

個人の面接でのトラウマセラピーを行いながら、本人と相談して、大崎セラピールームの行っているグループワークの出席をお願いします。

そこでは、癒しのためのトラウマワーク(嘆きの作業)をサイコドラマやエンプティチェアを使って、グループで行います。

ワークのなかで、傷ついた幼少期の自分と出会い、傷ついた自分に共感し、幼少期の自分を受け入れていきます。

メリット

セラピーが有効に働くと、以下のようなメリットが得られます。

・薬物に頼らないでも生きて行けるようになります。
・家族や友人などの関係が、信頼できる人間関係に変わっていきます。
・薬物を辞めた後の人生を現実的に考えられるようになります。

効果

セラピーが有効に働くと、以下のような効果が感じられます。

・オーバードースの回数が減っていきます。
・オーバードースの量が減っていきます。
・心に平安を感じる時間が長くなります。

費用

薬物依存症は一朝一夕で治るものではありません。長い期間を要することがありますが、ここでは概ねの概算として説明をいたします。

セラピストとの関係を作る期間(1~3回)、とセラピーがクライアントに有効かどうかを見極める期間(1~6回)を目途にしていください。(セラピーが有効でないと判断した場合は、他所の治療機関やセラピー機関を紹介します。)

それから、家族のコミュニケーションの修正、本人の行動修正(依存行動になるきっかけになるものを避ける環境つくり)、目標の設定をしていきます。(6~12回)

本人の傷つき体験の修復、癒しの作業、将来の人生の設定(6~12回)を行っていきます。

半年から1年間を目途として考えてください。

依存症に悩んでいる方、家族の方大崎セラピールームにご相談ください。

薬物依存は、多くは、思春期の問題として現れます。
主に、夫婦の家族の関係性の象徴として子どもが問題行動を起こします。

多くは、自分を守るため、家族を守るために、依存症になっていきます。
逆説的ですが、依存症にならなければ、家族はもっと悲惨な状況になっていたかもしれません。

しかし、薬物依存症になり、家族の崩壊を防ぐという、本人の無意識の自己処方的な対処は、やむに已まれぬ選択だったと思いますが、長期に渡れば、本人の命が危険にさらされ、家族も巻き込まれ不幸になっていきます。

本人の意思や、家族の世話だけで、薬物依存は治りません。専門家の力が必要です。薬物依存を断ち、本人と家族の関係の回復のお手伝いを大崎セラピールームがさせていただきます。