自己肯定感とは読んで字のごとく、自分を肯定する感覚のことを言います。

カウンセリングに来られる方が、様々な悩みや症状を抱えて相談に来られますが、その根本にあるのが、自己肯定感が低いことです。

自己肯定感が低いと、様々な生きづらさを抱えてしまい、自分の人生を幸福に生きられません。

ここでは、自己肯定感の解説と、自己肯定感を上げるためのカウンセリングについて紹介します。

自己肯定感とは何か

自己肯定感とは、あるがままの自分を認めている状態のことをいいます。

人との比較ではなく、自分の良い所だけでなく、悪い所も含めて、自分を認めて尊重し、受け入れている感覚のことをいいます。

この感覚は、将来の自信や、周りから自分は認められているという信頼の基礎になります。

自己肯定感は、元は、母親が赤ちゃんに与える無条件の愛情で育ちます。初めは、母親からもらう無条件の愛情を、徐々に自分の中に内在化させ、自分で自分のことを認めてあげる感覚が育っていきます。

どうして自己肯定感が低くなったのか

自己肯定感が低くなってしまう原因は一つではありません。様々な原因が複合的に絡み合っていることもあります。ここでは代表的なものを解説します。

家族から受けたトラウマ

自己肯定感が低い原因に、自分の育った家族で、幼少期に母親や父親から、虐待を受けてトラウマを抱えた場合が考えられます。
一番愛情を受けなければいけない母親、父親から、虐待を受けることで、自分は愛されていない、自分は生きていてはいけない存在だと、小さいころに刷り込まれてしまいます。
当然、健全な自己肯定感は育ちません。

学校でのいじめ体験

学童期や思春期での学校での、暴力や無視や、仲間外れ、見せしめにされるような恥の体験などのいじめ体験は、その人の心に大きな傷を与えます。

学童期から思春期は、家族以外の、同世代の人間関係や友人関係を築いていく大事な時期です。
いじめの体験を受けることで、人を信用できなくなり、それは自分がいけないからだと自分を責めてしまいます。
それによって自己肯定感が育っていくのが阻害されてしまいます。

条件付きの愛情

親の目指した目標に達したら子どもを褒める、それに達しなければその子のことを認めないという条件付きの愛情で育ててしまうケースがよくあります。
例えば、高学歴化を目指す家庭の方針として、幼少期から、塾や習い事などをさせている家庭に顕著に見られます。

条件付きの愛情では、子どもは、充分な自己肯定感が育ちません。

人との比較

自分を人と比較ばかりしていると、自分が、目標のハードルを一つ越えてもまた高いハードルを設定して、いつまでも満足が得られません。
人と自分を比較すれば、上には上があります。自分が劣っていると思うたびに、常に自分は努力が足りていない、自分はダメだと思い込んでしまいます。
このような悪循環の中で、自己肯定感は下がっていきます。

完璧主義

完璧主義の人は、自分のやったことに「人から非難されるのではないか」、「これで充分とは言えない」と感じていて、常に自分は足りない、努力が足りないと思ってしまいます。

自分にオーケーが出せないため、いつも不全感を抱え自分を責めます。いつまでたっても、これでいいという満足感や肯定感が得られません。

自己肯定感が低いと何が起こるか

あるがままの自分を認めてあげられないと、様々生きづらさを抱えてしまいます。

人生が悲観的になる

自分自身を肯定的に見られないと、いつも人と比較して、自分がダメだと感じたり、常に心配や不満に囚われます。

また、自己肯定感が低い人は、自分のことが嫌いで、自分が人から愛される価値がないと思っています。
そのため誰も信用できず、自分の人生を、孤独で、ろくなものじゃないと思ってしまいます。将来に対しても、不幸な人生しか思い浮かぶことが出来ません。

様々な精神疾患の原因となる

自己肯定感が低い人は、無意識に自分自身を責めてしまうので、抑うつ的になります。
自分に対して自信が持てないので、常に、不安や心配を抱えています。
自分の人生は上手くいかないと思っているので、将来に希望が持てません。
自分や周りに対して、いつも不満と怒りを抱えています。

このような状態が続けば、うつ病、神経症、人格障害、統合失調症などの、様々は精神的な疾患を患うことが多くなります。

自己肯定感を上げるにはどうしたらいいのか

自己肯定感を上げるには、基本的には、母親から赤ん坊がもらう無条件の愛情を受け取るような体験をすることです。
それを大人になってからどう体験することができるのかを紹介します。

あるがままの自分を認める

自己肯定感を上げるには、今ここの自分をすべて認めることです。つまり自分を全受容していくことが必要です。
失敗した自分、恥ずかしい自分、などネガティブな自分も、あるがままで、そのままでいい、それでいいと認めてることです。

これは甘やかしではありません。
普段は感じたくない、恥を感じている自分、劣等感を感じている自分を否認しないで、見つめ、認めることはハードなことです。しかし、このような自己受容のプロセスを経ないと、いつまでも自己肯定感が低いままになります。

成功体験を積む

小さな成功体験を積み重ねることで、「自分はこれが出来た」という自信や、自己効力感(自分には目標を達成する能力がある感覚)を得ることが出来ます。自己効力感を得ることは、自己肯定感を高めることに役立ちます。

自己肯定感の低い人は、こんなこと出来て当然だ。周りにはもっと出来る人が沢山いると自分の成功体験を過小評価してしまいがちです。

出来なかったことが、出来るようになることは大変なことです。また日常の家事や雑務でも、毎日コツコツできることは、パワーなのです。
それを出来た自分を褒めてあげることで、自分は大丈夫、自分は出来るという自信につながっていきます。

親密な人間関係を作る

自己肯定感の低い人は、周りの人間関係に、自分を傷つけたり、非難や批判をする人が多い傾向があります。
せっかく自分で、自分を好きになろうとしても、身近な人に傷つけられてしまっては、自己評価は上がりません。

何を言っても批判されない、評価されない、あるがままの自分を認めてくれる人間関係を作ることが大事になります。

自己肯定感を上げるカウンセリング

カウンセリングで、どうクライアントの自己肯定感を上げるのかを紹介します。

全受容する

カウンセリングでは、クライアントの話を全て受容し、その人のあるがままのを認めていきます。

何をやってもうまくいかない、死にたいと思っている、人生に希望が持てない、自分のことが好きになれないという様々なネガティブなことも、その人は、そう考えてしまう理由があります。

否定や、批判や、アドバイス、説教などせずに、その人の話を丸々全て受容します。

情緒のつながりを持つ

カウンセラーはクライアントにどうしてこのようなことを感じてしまうのだろうか、どうやってこの人はここまで生き抜いてこれたのだろうかと、関心を持って話を聞きます。
クライアントも、否定せずに聞いてもらい、関心を持ってくれていると思うと、受容されたという安心感を感じます。
ここで、母親が赤ん坊を無条件の愛情で関心を持ち、赤ちゃんが心から安心する関係に似た、情緒の交流が生まれます。

このような情緒交流起きることで、自分はこのままでいいんだ、自分は自分でいいのだと思えるようになります。

傷ついた過去の自分を癒す

自己肯定感の低い人は、過去に人間関係で傷ついた経験を持っていることが多くあります。その人はそれを感じないために、自分なりの心理的防衛を使って、生き延びてきています。

その防衛を解いて、傷ついた過去の自分を癒す必要があります。
過去の傷ついた経験を、安全な場所で、悲しかった、苦しかった、つらかったと、感情を伴って、カンウセラーに語ることが必要です。
これを喪の作業(グリーフワーク)といいます。

人間関係の再構築

家族や、職場、友人関係など、周りに自分を傷つけたり、いつも批判や非難をする人が囲まれていると、自己肯定感が低くなります。

自己肯定感は、人間関係の中で育っていきますので、自分が傷つくような人間関係からは距離を取る必要があります。
また、新たに、自分を傷つけないで、あるがままを認めてくれる人間関係を再構築していく必要があります。それには、今までの人間関係を、勇気をもって終わらせる必要があることもあります。

それをカウンセラーと話し合い、力を合わせて、新たな親密な人間関係を作っていきます。

自己肯定感が低いと感じている方へ、大崎セラピールームをご相談ください

心理セラピーに来られる方の多くが、心が傷つき、自己肯定感が低い状態になっています。

その中で、その人は、これまでの人生をサバイバルして来たのです。

そのような困難な人生をここまで歩んでこれたのは、その人の力です。その力があれば、自分の人生を肯定し、自分も捨てたものじゃないと思える人生を送ることは可能です。

自分自身を肯定し、好きになり、自分の人生に希望を持って自分らしく生きて行くことを、大崎セラピールームはお手伝いさせていただきます。