家族の中にひきこもりの子どもを抱えていませんか?
「この子はこの先どうなるのだろう?」
「私たちの老後はどうなるのだろう?」

毎日、心配と不安で、心を痛めていませんか?

ひきこもりは、長期化しやすく、あっという間に10年20年たってしまいます。

ひきこもりは本人も家族もつらい状況ですが、徐々に脱出していく事は可能です。

ここでは、ひきこもりについての解説とともに、引きこもりから脱出するための親がする対処法を紹介していきます。

ひきこもりとは?定義

ひきこもりの定義は、「自宅に引きこもって、社会参加をしていない状態が6か月以上持続していて、その原因が精神障害とは考えにくいもの」となっています。

ひきこもりは、病名ではなく、あくまでも“状態”をあらわす言葉です。

ひきこもりの人は、家から出ず、家族ともほとんど会話をせず、自室に引きこもって、何もしないで無為な時間を過ごしています。

初めは家族との接点が見られますが、その内、家族とも会話をしなくなります。家族も、世間体を気にして、家にひきこもりの子どもがいることを外に知られたくないため、相談機関に行くことを先延ばしにしがちです。

そのため、一度ひきこもると、長期化しやすくなるのが特徴です。現在、「80-50問題」と言われる、80代の高齢の親に、50代のひきこもりの子どもが生活を支えてもらっている家族の増加が、社会問題になっています。

ひきこもり本人は、家族・社会から切り離され、その家族も社会から離れている状態を、精神科医の斎藤環氏は“ひきこもりシステム”と呼んでいます。

上の定義の“社会的参加”の部分を「“就労・就学”をしてない状態が6月以上持続すると」、定義がニートになります。

ひきこもりの原因

ひきこもりは、統計的に思春期になることが多いと言われています。思春期は、人と自分の区別が出てきて、自意識が育っていく時期だからです。自意識とは、人から自分がどう思われているか、どうみられているかが、強く気になることです。

なので、失敗や人前で恥をかいた経験がきっかけで、人前に出ることがいやになり、ひきこもるようになります。

学校でのいじめ
学校でのいじめをうければ、当然、教室に行くことが怖いので、学校に行きたくなくなります。不登校になりそのまま、ひきこもりになるケースです。

受験、留年、就職の失敗
目指していた大学の受験に失敗した、留年した、就職できなかった、という挫折体験のため、人生のレールから外れてしまったと感じてしまいます。「自分は、人生の敗残者だ」と思ってしまい、現実を受け入れられず、ひきこもってしまいます。

職場でのハラスメント
上司や同僚にハラスメントを受け、職場に行けなくなり、退職した後も、またハラスメント受けるのではないか、という予期不安で、就職が出来ず、ひきこもってしまいます。

ひきこもりの種類

ひきこもりの種類を5つ挙げますが、順番が下に行くほど、ひきこもりの重症度も軽くなりますので、ひきこもりの回復も以下の順番で進むことを目標にしていきます。

1 完全ひきこもり
自室にひきこもって、親とも接触せず、食事も自室の前に置いておいてもらい、何もしないでベッドに横たわって一日を過ごす。
2 親とは会話が出来るひきこもり
自室からは出て、リビングで食事を取って、親とわずかな会話は出来るが、外出はしない。
3 外には出られるひきこもり
コンビニや図書館など、知らない人と、わずかな関りだけの外出ならできる。
4 楽しいことは出来るひきこもり(ニート)
コンサートや旅行など、自分の趣味事は一人で外出することが出来る。
5 社交は出来る引きこもり(ニート)
友人にあって外出や食事など行くことが出来るが、就労のことになると停滞してしまう。

3,4は定義で言うとニートになります。親との関りから社会(家族以外に人)との関りへと他人とのかかわりの範囲が広くなっていくことで回復が進んでいきます。

回復の順序としては、ひきこもりからニートを目指していきましょう。

ひきこもりの性格の特徴

ひきこもる人の性格には傾向があります。対人恐怖と被るところが多いのですが、(対人恐怖の対処法)解説していきます。

男子が多い

ひきこもりには性差があります。4:1で男子が多いのが特徴です。男子の方が、ジェンダーとしての「男は強くあれ、負けるな」という社会の通念が強いので、自分が弱い、負けたと思うと、人前に出ることが怖くなり、引きこもっていきます。

以下に上げる特徴は、「男らしさ」にかかわるものがおおく、男子が多くなる理由になります。

恥の感覚が強い

挫折や失敗体験やコンプレックスを抱えている自分に対して恥の感覚を強く持ちます。世間体を気にし、人に知られることを恐れます。自分で抱え込みやすく、他人の評価を避けひきこもります。

~すべき思考が強い

男はこうあるべき、大人はこうあるべきなど、こうあれなければいけないという思いが強く、それにそわないとすべてがダメだと思ってしまいます。

人の評価が気になる

自意識の問題で、人から自分がどう思われているかが気になり、きっと自分のことをダメなやつ、と思っていると考えてしまうので、人と会えなくなります。

プライドが高い

挫折や失敗の体験の傷つきのため、自意識では、自分はもっとできる、才能がある、こんなものではない、やればできる、と思うことで自己愛を補填しようとします。そのため尊大やごう慢な態度になりがちです。

勝ち負けにこだわる

ひきこもりの人は、自分が負けたという感情を抱えています。負けるのが怖いので外に出られなくなります。つまり人生は勝っていなければいけないと思っています。人生観が、勝ちと負けしかありません。

勝っている孤高の人が大好きで、イチローと将棋の羽生名人がお気に入りです。

目標・設定が高い

ひきこもりの人は、長期化していることが多いので、その無益な期間を、一発逆転しようとします。ステップバイステップの考え方は出来ず、目標設定が高くなります。

例えば「コンビニバイトなどバカらしくて出来ない」「自分の才能を生かした年収1,000万の仕事がふさわしい」という思考になります。

引きこもり特有の症状

ひきこもりは病名ではありませんが、自室にずっとひきこもり、だれとも接触を断っていると、色々な症状が出たり、症状が固まりその人の人格のようになっていきます。

また精神症状として、手洗いや確認行動が止まらない強迫神経症がでたりします。


ひきこもっている人は、心の中で、たえず自分がいけない、自分はダメだと自己卑下をしています。そのため、「自分を貶めるような声が聞こえる」「外で人が自分を監視している」などの幻聴幻覚などの統合失調の症状が出ることがあります。

対人恐怖症

対人恐怖症とひきこもりは、ほぼ同義と言っていいでしょう。ひきこもりの人は、人からダメ人間と思われていると考えてしまうため、人との交流をひどく恐れるので、対人関係を避けひきこもります。

昼夜逆転・起立性調節障害

他の人が活動している昼間の時間は、人と会う可能性が高いので、夜に起きていることが多くなります。昼夜逆転になり、当然、朝は起きられません。それが起立性調節障害の病名が付くことがあります。

新型うつ

趣味事や楽しいことは出来るが、職場には行けない、現代型うつといわれているものですが、就労することに適応が出来ない課題です。適応障害の診断が付きますが、これはニートの特徴になります。

自己愛性人格障害

ひきこもりは、一人でいることが多いので、自分の苦しさだけを考えてしまいます。他人の都合や苦痛などを考える余裕がなくなっています。

現実を受け入れることが出来ないので、自分は正しくて、相手が間違っている、悪いという他罰的な態度になります。要求がましく、態度もごう慢に見えます。

このように自分のことしか考えられない状態を自己愛が肥大した状態といいます。

このような状態が長く続くと、自己愛の肥大した態度がその人の性格に固定されてします。

ひきこもりを長期化させる家族対応の要因

ひきこもりが、唯一関係を持っているのが、親です。特に母親です。親との関係がひきこもりが長期化するかのカギを握ります。

本人ためと思ってやっている言動が、却って本人の態度を硬化させ、ひきこもりを長期化することが多く見られます。

文句を言いつつ、面倒を見る=共依存

「いつまで、ひきこもっているの?」
「いつ就職するの?」
と文句を言いながら、本人の身の回りの世話をします。

食事洗濯から、「あそこであれ買って来い」の使い走りのようなことをしたり、
「金を出せ」といわれれば出してしまいます。

このように文句を言いながら、身の回りの世話をする、という矛盾する態度は、メッセージを受け取る方は混乱してしまいます。

過剰にお世話をすることで、自分で立ち上がる力を奪ってしまいます。親に依存しないと生きていけなくなります。

このように離れたいのに離れられない関係、過剰なお世話をすることで、本人の立ち上がる力を奪ってしまう関係を共依存と言います。

家族で抱え込んでしまう、相談機関に行かない

家族も、世間体を気にして、子どもがひきこもっているということを外に知られたくないため、抱え込んでしまいがちです。

親は自分の子育てが失敗だったと言われるのではないかと説教されるのではないかと思い、相談機関へ行きたがりません。

そのため、自分たちで何とかしようとしてしまいます。しかし、説教するか、職業訓練のパンフレットを持ってくるか、勝手に精神科の病院に予約を入れるとか、場当たり的な対応しかできません。

無理やり家族から引き離すような業者に依頼する

特に、ひきこもり本人が暴力を振るっている場合、親も切羽詰まっているので、無理やり本人を部屋から引きずり出して、寮に入れて生活を立て直すような暴力的な業者に頼んでしまうことがあります。

このような対応はほぼ失敗します。本人の傷つきは大きく、恨みも強くなるので、予後は大変悪いものになります。

引きこもりに対する親の対処法

ひきこもりは本人だけで解決はできません。家族の関係性が変わることが必要です。そのため家族の本人に対する対応が決め手になります。

家族が地域のひきこもり相談へ行く、家族会に出席する

ひきこもっている本人が、自ら相談機関へ行くということはしません。そのため、ひきこもりを抱えている家族が、社会との接点を持つことが大切です。行動が出来るのは家族なので、まず家族が相談機関へ行く事から始めます。

今は、どこの地域にも、ひきこもり相談窓口があるので、そこへ家族が相談に行きましょう。そして他のひきこもり親が集う、家族会に出席しましょう。

家族会に出ることで、自分たちの家族だけではないと安心を感じます。そこで自分たちの抱えてきた心配や不安を正直に話してみましょう。他の家族に共感して聞いてもらうことで、自分たちの孤独感が癒え、そこが居場所と感じることが出来ます。

そこで自分の家族より、回復している家族を見ることで、自分たちも希望を持つことが出来ます。回復のプロセスや、本人と関わり方も学ぶことが出来ます。

家族が本人の対応を学ぶ

家族は知らず知らずに共依存的な関りをしてしまいます。そのことが引きこもりを長期化させてしまいます。家族が、本人のかかわり方を、地域のひきこもり相談や心理の専門家、ひきこもりの家族会などから学ぶ必要があります。

暴力はゆるさない、暴力が起きたらすぐに警察

中には、家の中で暴れている、ひきこもりもいます。怒鳴る、暴言を吐く、壁に穴をあける、親を殴る蹴るなどは、我慢してはいけません。我慢することで暴力がエスカレートしていきます。暴力が起きた時はがまんせず、警察に通報し、介入してもらうことが必要です。

親が、暴力は受け入れないという、境界線を示すことが大切です。ひきこもり本人は、親は全てを受け入れるという幻想の中にいます。親も限界があって有限な存在だということを、本人に知ってもらう必要があるからです。

就労を目標に置かない。毎日の生活を家族が機嫌よく過ごすことを目標にする

親も子どもが、このまま働かないで、どう生活をしていくのかと心配になって、本人に働くように、激励しがちですが、それが本人の不安を高め、ひきこもりが長期化することになってしまいます。

就労は出来ればいいくらいに考え、親の心配や不安は、本人にいうのではなく家族会やカウンセリングで話します。

目標を低く設定し、本人に声をかけて会話が出来たり、一緒に食事をとったりすることを楽しみます。

そのことの延長に、本人が外へ出ることができたり、相談機関へ繋がったり、もしかしたら、職が見つかったりということが起こります。その変化を楽しむくらいの余裕を持ちましょう。

発想を転換する

例えば、「80-50問題」と言われているものも、「自分たちの老後の介護を子どもが見てくれるのだから、いいじゃないか」と発想を転換します。

その中で、本人が介護職の免許を取ろうとすれば、子どもの就職課題も、自分たちの老後の介護も解決します。

そのためには、30歳過ぎて就職していないことは恥ずかしい、という固定観念から抜ける必要があります。

家族会なので学んだ、本人への対応や声掛けを実践する

叱咤激励は、却って本人の不安を高めて、ひきこもりを強化してしまいます。それとは違う声かけを学ぶ必要があります。

I(アイ)メッセージを学び(「お母さんは、こう思うよ。」「お母さんは、そういうことを言われると、悲しいよ。」など)、自分と本人の境界線をつけ、本人のことは、本人にやらせ、出来ることと出来ないこと明確にして、それを伝える練習をします。

カウンセリングを受ける

ひきこもりは自室にひきこもっていますので、カウンセリングには来ません。ですので、家族がカウンセリングを受けることになります。

家族のシステムの中で、ひきこもりが起こり、長期化しますので、家族が変われば、関係性も変わります。その変化の中で、ひきこもり本人も変化していきます。

ひきこもり本人を変化させようとするのではなく、家族がまず変化していきましょう。

引きこもり脱出のための「大崎セラピールーム」

ひきこもりは、自分たちだけは解決できません。専門家の相談と、家族会などの自助会の参加は必要です。

大崎セラピールームでは、ひきこもりを家族問題と捉えて、家族にアプローチしていきます。

大崎セラピールームの家族療法

家族問題とは、その家族にとって、ひきこもりは必要だったと考えます。家族の中の子どもの問題は、夫婦間葛藤の象徴です。

夫婦の仲が冷めきっていて、子どもがいなければ、離婚になるので、家庭崩壊を防ぐためにひきこもりが必要なのだと考えます。

大体が夫が仕事依存のため、家にいないことが多く、母親は子育てに過剰に専念して、過保護になり、母親と子どもの癒着、つまり共依存関係が出来上がっています。

カウンセリングには、母親だけではなく父親にも参加してもらいます。実際に父親の参加がある家族の方が回復は早いです。

両親の不安や心配、子育てが失敗だったかもしれないという罪悪感を受け止めます。
本人のかかわり方を学び、
親が「子どもは、家族はこうあるべきだ」という思い込みを柔軟に変化させます。

目標を現実可能なものを設定し、長期的展望も持ち、一緒に考えていきます。

カウンセリングを受けるメリット

自分だけで抱えていた、苦しみや心配不安を、カウンセラーに聞いてもらうことで心が楽になります。

・自分の子育てが失敗だったのではないかという罪悪感から抜け出すことが出来ます。

・本人とのかかわり方を学び、実践することで変化を実感できます。

・長期的で現実的な将来の計画が立てられます。

・夫婦間の絆が強くなります。

カウンセリングを受ける効果

どのように先に進んだらいいか、具体的に分かっていきます。そのことで家族の心配や不安が減っていきます。

親が変わることで、家族間の関係性が変わるので、ひきこもり本人の変化が見られます。
例えば、
・家族内の緊張感が減る。
・夫婦の会話が増える。
・家族が明るくなる。
・これが自分たちの家族なのだと受け入れられることができ、ひきこもり家族であることが気にならなくなる。
・本人が外へ出るようになる。
・本人が相談機関や友人やサークルなど社会につながれるようになる。
・本人が就労や職業訓練につながる。

引きこもりで悩んでいる方、家族、大崎セラピールームにご相談ください。

ひきこもり問題は、魔法のような解決はありません。長期に腰を据えて取り組む必要があります。その中で、変化が起こってきます。

今まで、家族子どもの幸せのためを思って一生懸命やってきた、ご両親の苦労は大変なものです。
その今まで苦労を、希望に変えていきましょう。

大崎セラピールームのカウンセラーも、ひきこもりからの回復者です。ひきこもりからの回復のプロセスをわたくし自身が経験しました。自身の経験と、専門家としての専門知識と臨床経験で、ご家族の抱えているひきこもりからの脱出をお手伝いいたします。