「出会い系サイトで知り合った、見ず知らずの男性からお金をもらってセックスをしている。」
「セックスワーカーをしている。生活のためにはやめられない。」
「セックスが終わった後は自己嫌悪で、死にたくなるほど、落ち込むのに、またやってしまう。止めたくても止められない。」
など、自分を傷つけるようなセックスが止められなくなっていませんか。
このような性の囚われは、性依存でありますが、その背後に大きなトラウマを抱えていることがあります。
ここでは、性依存の対処法だけでなく、その背後にあるトラウマに対する対処法や治療法について解説していきます。
目次
性依存とは？ 恋愛依存との違い
性依存は、依存症の一つで、日常生活に支障があるのにセックスが止められない病気です。
似たような症状に、恋愛依存がありますが、それとは分けて考えます。
依存症の中で、
性依存は、行為（プロセス）依存（パチンコや買い物など）になり、
恋愛依存は、関係依存（共依存など）にあたります。
この二つは、原因や深刻度がやや違います。
恋愛依存については、後日解説いたします。
売春
出会い系サイトなどで知り合った、男性とお金を目的でセックスをします。
表面上の目的としては、小遣い欲しさや欲しいものがあるからという理由ですが、その男性がやさしく接してくれたり、話を聞いてくれたりする、男性の暖かさに触れるために行うことがあります。
その場限りの関係の場合も、特定の人との関係を続ける場合もあります。
性風俗勤め・セックスワーカー
理由としては、生活費を稼ぐため、手っ取り早くお金を稼ぐため、学費を払うために、割りのいい、性風俗産業に入いります。
また今は、そのような組織や会社に入らず、インターネットで個人で顧客を得ている個人のセックスワーカーもいます。
セックス（いわゆる本番）をする性風俗に勤めている（ソープランド、ホテトル、売春）ほど、その人の幼少期からの心の傷は大きいことが多いです。
最近では、アダルトビデオの出演なども同様なことが言えます。
性依存の女性が抱える複合的な疾患
売春や、セックスワーカーの女性の多くに見られる他の精神疾患があります。
自傷
リストカットや自殺未遂など、性依存から抜け出せないことの自己嫌悪や、生きていて何の意味があるのかと思う虚しさ、将来の希望のなさなどで自傷行為を、自殺未遂をします。
また不眠や焦燥感に襲われるときに、リストカットをするとよく眠れると言った理由で、リストカットなどの自傷が止まらないことがあります。
摂食障害
痩せている体形に対するこだわりを強く持つことが多く、食べ吐きが止まらない人も多いのも特徴です。
性依存の女性は、自分の体や性欲を汚いものと思っていますので、身体の自然な欲求としての性欲を感じることを排除、否認します。その排除されたものが食物へと転換されます。食欲や体重のコントロールが破綻した時に、食べ吐きの摂食障害として現れます。
解離
気が付くと時間が数時間たっていて、その間のことを覚えていなかったり（解離性健忘）、
自分がどこか遠くから、ぼんやり自分も周りもみている感じ（離人感）、
自分と世界の間に薄い膜が張ったような感じ（現実感消失）、
などの解離症状が多く見られます。
深刻になると、人格が交代して、他の人格がやったことを何も覚えてない（解離性同一性障害、多重人格）解離症状を持っている人もいます。
万引き
摂食障害とセットで多く見られるのが、万引きです。
欲しいものを万引きすることは少なく、また転売をしてお金を稼ごうということもありません。しかし、警察に捕まるまで取り続けます。
万引きも無意識の、自罰行為です。「自分は、いけない人間だ」と自分を思っているので、警察に捕まることで自分を罰します。
物質乱用・嗜癖
アルコールや違法薬物などの、乱用や嗜癖が多くみられます。
つらい過去や、生きづらさを忘れるため、寂しさや、空虚さなどを埋めるために、アルコールや禁止薬物が手放せなくなります。
アルコールや薬を使った時に、一瞬でも、辛さが忘れられたり、多幸感があり、それに依存するようになります。
しかしそれらの物質嗜癖は、結果は体も心も傷つけることになります。
物質の乱用・嗜癖は一種の自傷行為、徐々に命を短くさせていく自殺行為の意味もあります。
性依存の原因
多くの割合で、売春などの性依存には、幼少期の虐待、特に性的虐待と関係があります。
幼少期の虐待
親からの、暴力やネグレクトなどの虐待で、自分がそのままでいていいという自己像が持てません。
元々、「自分がいけないから」、「自分はいない方がいいと」、と自分に対する自己評価が低いので、それに見合った行動をとりがちになります。
「自分は汚い、汚れた人間だから、こういう行動をするのがお似合いだ」、という、自分を貶める思考から、売春などの性依存行動になります。
性的虐待
幼少期の父親、継父、兄、叔父などの親族からの長期間にわたる、性的加害は、その人に甚大なトラウマ（心的外傷）を及ぼします。
性的被害を受けていた時の恐怖を、解離を使って、何も感じさせないようにさせます。その後も、そのことを覚えていなかったり、普段の生活でも解離症状が起こります。
被害の記憶が、自分が思い出そうと思わない時に、浮かんでくること（フラッシュバック）があります。
被害を想い出せせるような、似たような状況や人物をむやみに避けるようになります（回避行動）。
これは全て複雑性PTSDの症状になります。
何故、性被害を受けた人が性依存になりやすいかというと、
幼少期から解離症状が出てると、周りから「変な人」と思われることが多く、友だちが出来ません。いつも寂しさ思いを抱えて、思春期に入ると、優しくしてくれる男性に、一気にのめり込みます。
このような被害にあったのは、自分が悪いから、自分が汚いから、こういう被害になったのだと思っています。罰を受けて当然だという自罰感情から、自分を傷つけるような売春などの性依存になり、抜けられなくなります。
これをトラウマの再演（リエナクトメント reenactment）と言います。
主な性依存の治療法
性依存の主な治療法は、依存症の治療と同様なものになります。
薬物療法
衝動性を抑える薬（SNRIなど）、神経を鎮静させる薬（抗精神病薬など）など処方されます。また、性依存の人はうつを患っている人も多いので、抗うつ剤などが処方されることもあります。
認知行動療法を用いた心理カウンセリング
さびしさの感情に非常に弱く、それを手っ取り早く、埋めるために、売春などの行為に走ってしまいます。
その結果、自己嫌悪が激しくなり、死にたくなったり、自分をさらに傷つけるような行動になってしまいます。
その自分の心と行動のパターンをよく調べていきます。
「寂しいと感じたときに、出会い系サイトで出会った男性に、やさしくしもらって、お金までもらった。」寂しい時は出会い系サイトで男を探すという行動と、人からのぬくもりとお金を貰えるとい報酬が結びついてしまっています。
そこから、売春をしたいと思う時、どういう引き金があるのか、それをどう他に対応したらいいか、どういう考え方があるのか、衝動的行動しないようにどうしたらいいかを、考えていきます。
そこから、売春をしなくても、自分の寂しさをやりすごすことができる、行動様式を作っていきます。
自助グループ
女性の性依存の人の集まる、当事者の自助グループへの参加です。同じ悩みや、苦しみを抱えている参加者の話は、自分にも当てはまるので、共感をして話を聞けます。
自分の話も、共感して聞いてもらえるので、自分が受け入られてもらっているという安心感や居場所感を持つことが出来ます。
さらに、自分より回復が進んでいる参加者を見て、自分の性依存も回復するのだと希望を持つことが出来ます。
大崎セラピールームの性依存のカウンセリング
大崎セラピールームでは、性依存の裏にある、トラウマに焦点をあててセラピーをしていきます。
安全と自己管理
幼少期に虐待された過去を持つ人は、日常の刺激さえ、敵意と攻撃と感じがちです。その原因は自分にあると思い、自分をさげすみ、攻撃します。それが自傷や自殺未遂になります。
まず自分自身の安全、居場所の確保を目指します。
例えば、暴力的な人が周りにいる場合は、そこから離れ、被害者女性のシェルターを紹介したり、
パニックや自傷行為がある場合は、精神科の受診や、入院なども検討していきます。
主に安全確保のための、ソーシャルワーキングを行います。
外傷体験の統合
安全が確保され、身体症状（パニックやフラッシュバックなど）がある程度収まった段階で、過去の忘れていた記憶やトラウマ体験を語ってもらいます。
そこであふれてくる感情、怒りや恐怖、悲しみなどをセラピストと一緒に体験していきながら、過去の虐待の物語に新たな意味付けをしていきます。
人間関係の再構築
自分を傷つけるような人間関係から、自分にとって適切で安全な人間関係の構築をしていきます。
この段階で、抑うつ状態を体験していきますが、それを新たな人間関係を作っていく事で、うつ状態を脱していきます。
またこれからの自分の人生をどう送っていくか、将来の設計をしていきます。
カウンセリングを受けるメリット
カウンセリングが有効に働くと、
・自分を傷つける生活、人生から脱せられます。
・自分の過去を許せるようになります。
・自分の虐待体験を生き抜いたことを自分の力だと感じられます。
・自分の人生を変えられる希望が持てます。
カウンセリングを受ける効果
カウンセリングが有効に働くと、
・生きづらさが減っていきます。
・安全、安心感を実感できるようになります。
・自分を傷つけない人間関係に変わっていきます。
費用
トラウマのセラピーには時間がかかります。また、皆同じような回復の道を歩むわけではありません。ここでは大まかな概算を解説します。
まず、セラピストとの関係（ラポール、信頼関係）を築き、セラピーがクライアントにとって有効かどうかを決めます。その期間はだいたい3ヶ月（2週間に一回を6回、6万円）くらいを目途にしてください。
その次に、第一段階（安全と自己管理）のソーシャルワークに、3ヶ月（2週間に一回を6回、6万円）くらいを目途にしてください。
第二段階（記憶の統合、トラウマワーク）に、3ヶ月（2週間に一回、6回、6万円）を目途にしてください。必要であれば、大崎セラピールームのグループワークの参加もお願いすることがあります。
第三段階（新たな人間関係の構築）に、3ヶ月（2週間に一回、6回、6万円）を目途にしてください。
トラウマワークにはだいたい1年以上を目途に取り組むと思っていただければと思います。
このような長期継続でセラピーを希望するけれど、経済的に厳しいという方は、面接料金の相談に応じます。（正規の値段を支払えない方へ）
性依存に悩んでいる方大関セラピールームにご相談ください。
性依存の背後には、虐待や性虐待を受けていることが多くあります。
その過酷な人生を、命を落とさず生きてこられたことは、驚嘆に値します。
過酷な人生の中で、性依存をすることで、生きのびてきた（サバイバル）のです。
しかし、そのような自己対処法では、ますます自分を傷つけてしまいます。
性（セクシャル）トラウマの回復に関しては、専門家の助けが必要です。
大崎セラピールームでは、安全な場を提供しながら、あなたのこれまでの生きてきた人生物語を丁寧に聞き、トラウマを統合していき、新しい人生の構築へのお手伝いをさせていただきます。