自助グループのメリットとデメリットは?

自助グループのメリットとデメリットとは?

このホームページにも「初めての方へ」の「効果的に回復するためのガイド」に自助グループの利用を勧めています。

今回は、自助グループがメリットにもなり、デメリットにもなるシェア(話の分かち合いのこと、グループでの自分の発話、スピーチ)の違いについて見てみます。

自助グループは意味ない?

カウンセリングにつながる前に、自助グループを利用したという方々がいらっしゃいます。「でも自助グループに通ってみても、ただ自分の話をして人の話を聞いて終わるだけで、意味がないと思った。」という話をよく聞きます。

「初めての方へ」の「効果的に回復するためのガイド」にも書きましたが、自助グループをうまく利用することは、自分の回復の強力なツールになります。

ですが、自助グループは困っている人であればだれでも参加できるので、ルールはシンプルに「言いっぱなし、聞きっぱなし」だけです。その代わり、だれもこうやって話したらいいというアドバイスもないので、ただ漫然とシェア(話の分かち合い)をしている感じになり、意味ないじゃないと感じるのでしょう。

自助グループでは何を話してもいいのですが、ここでは、どう自分のことを話したら効果的に回復につながるヒントを上げたいと思います。

ここで斎藤学著『「毒親」って言うな!』(扶桑社、2022年)を参考にしてみましょう。

「私なりのスピーチの判断基準は以下のようなものです。…(略) ほとんどが自己弁護のスピーチは×。自分の責任をすべて棚上げにするスピーチは×。壊れたレコードプレーヤーみたいにずっと同じことを繰り返しているスピーチは×。

うまくいっていない自分についてどんな風に感じているか、具体的にしゃべれているスピーチは〇。…(略)

誠実な話は〇。相手が一方的に悪者として登場するような話は、…(略)×。…(略)本当は困っていることについて相談したいと思っているのに、故意にそれをはずしてとびとびの話をする、これは不誠実ですから×。

細部がしっかりした話は〇。「何年前にどういう状況で誰と出会って、こういう関係がはじまった。最初は危ないなと思ったけど、自分もひとりでいるのが退屈だったり寂しかったりして、こんなふうに仲が深まっていった」と、途中を省かないできちんと話すのはよいスピーチで〇。…」(p.160~161)

自助グループのデメリット。自助グループがデメリット(意味のないもの)になってしまうシェア

自助グループがデメリットになってしまう(意味のないもの)シェア(話の分かち合い)を見てみます。

デメリットになるシェア1、壊れたレコード

上の引用は、当たり前のことが書かれているようですが、これがなかなか難しいようです。前半の部分は、あいつが悪い、わたしは悪くない、あいつがああやった、こうやった、私は被害者だ。というシェアはよくないということです。なぜそうなるかというと、自分の今の苦しみを自分で引き受けられないからで、それを人のせいにして、自分の問題は棚上げにしています。これが続くと、壊れたレコードプレーヤーにようになりますし、少しも楽にはなりません。これは昨今の「毒親」批判に通じるものです。「私の親は「毒親」だ」と非難し続けても気持ちは楽になりません。

デメリットになるシェア2、事実の羅列

最後に「細部のしっかりした話は〇」とあります。これと分けて考えたいのは、事実の羅列、状況説明だけに終始してしまうシェアは×です。ここは見分けるのが難しいところですが、そこには自分の気持ちや感情が入っていない、事実の羅列、説明は×になります。状況説明や解説だけだと、聞いているほうも、「ああそうなんだ、そういうことがあったんだ。」でおわってしまって、お互いの共感という感情の交流が起きません。

デメリットになるシェア3、解釈する

これに似たものに、解釈に終始するというシェアも×です。「自分が虐待されたのは、親も自分の親に虐待されたからで、これが暴力の連鎖だと思います。」これは男性に多いのですが、上と同じ理由で、自分の感情や気持ちが排除されていて、解釈は正しいのですが、共感が起きません。これも自分のリアルな感情を回避する心理的防衛です。

デメリットになるシェア4、How to?

それとよくある×シェアは、こうしたらいい、ああしたらいい、という解決策、how toに走ってしまうものです。今の状況が苦しいので、早く何とかしたい、だから早く解決方法が知りたいという気持ちは「じゃあどうしたらいいの?こうしたらいい、ああしたらいい」という解決方法探しに終始します。これは言わば、コスパ効率主義です。そこには自分の都合だけで、他人ははいってきません。この自己中心的な生き方が考え方やシェアに現われます。そのようなコスパ効率主義が自分の人生を苦しくしているということに気が付く必要があります。

このようなシェアを続けていても、回復、自分がよくなった感じ、変化して行っている感じがなかなかつかめません。ただ神社のお百度参りのようになってしまい、こんなこと続けても意味ないな、となり、行くのをやめてしまいます。

自助グループのメリット。自助グループがメリット(回復に役に立つ)になるシェア。

このようなありがちな×スピーチに、アサーティブトレーニングなど使う、I(アイ)メッセージ(「今私は〇〇と感じています。」)を繋げてシェアしてみましょう。

「あいつにああいわれた、あんなひどいことをされて、私はいまとても悔しい。」「ああいうことがあって、こういうことがあって、それを今思い返すと、今自分はとても怒りを感じる。」「親にも自分の親から虐待を受けていて、虐待の世代間連鎖になっている事実を考えると、今私はとても悲しい。」と自分が今どう感じているかをしっかりと感じてIメッセージで言ってみる。その感情、気持ちの部分が他の人たちの中の感情と繋がり、共感になり、そこでメンバー相互の感情の交流が起こり、傷ついた感情の回復が行われます。

さらに同じ悩みを抱えている仲間の中で語ることで、安心感を感じ、自分の居場所を見つけだして、回復に必須な、人からの受容してもらう体験や他者に共感する力を身につける練習になり、回復のための大きな武器(メリット)になっていきます。